戦時下、命がけで書かれた「先祖の話」

先日見たマコモの動画もそうですが、最近、興味をそそる動画がyoutubeを開くとあがってきます。（しかも、数年前の。）

今回は、柳田國男の「先祖の話」に関する動画。↓

“生物学上、血縁上の繋がりだけに留まらない”というのが、柳田國男が唱える「先祖」。

「先祖」の考え方には二通りあるようです。

1. その家をはじめた一人だけを先祖とする。
2. 自分たちの家で祀らなければ他のどこでも祀られることのない人の霊を先祖とする。
   
   
   
   
   柳田國男は、２つめの考え方を支持し、日本の祖霊信仰を追求して、いつ命を落とすかわからない空襲のさなかに「先祖の話」を書きあげました。
   
   
   祖霊信仰論の柳田國男の発想内容が興味深いものでした。
   
   
   
   亡くなった人の魂は、一定期間清められた後に山に行ってご先祖様としての集合霊になり、その中の特定の霊が「カミ」への過程を経て氏神になり、その土地を守護する産土神として崇敬されるようになる。
   
   
   という箇所があるのですが、そう考えると、自分のルーツを知るために産土神社を知っておくとよいというのも頷けます。（最近、魂のゆかりの地として、土地とのつながりに思いを馳せたりもするようになったので...。）
   
   
   
   

動画の終わりで、柳田國男が望んだ新しい社会についての文章が紹介されていました。

今度という今度は十分に確実な、

またしても反動の犠牲となってしまわぬような、

民族の自然と最もよく調和した、

新たな社会組織が考え出されなければならぬ。

柳田國男「先祖の話」「自序」

戦時下のいつ死ぬかわからない状況で書かれた文章だと考えると、とても重く感じられると同時に、今まさにわれわれに向けられた言葉のようにも感じます。