PERFECT DAYS

じっくりカラダを休めるべく、出来るだけ動かずに過ごす2025年のお正月。

いつもは観ることのないタイプのたまたま観た映画が、そんな時間をちょっといいものにしてくれました。

ドイツと日本の合作「PERFECT DAYS」↓

ルーチン的な日々の暮らしの中のささやかなときめきと変化を感じるエッセンス。

セリフも登場人物も少ない映画で、淡々と主人公の繰り返しの日常が描かれているのですが、なぜか見入ってしまう、そんな作品でした。

口数が少なく、表情や行動でその人柄の良さを滲みださせる主人公の日常に彩を添えるのは、仕事終わりに銭湯でひと風呂浴び、その後向かう地下の飲み屋のハイボール、そしてカセットテープと文庫本、フィルムカメラ、“紅葉のひこばえ”。

ひこばえというのは、樹の根元から生えてくる若い枝のことです。

東京の公共トイレの清掃員の仕事をしている主人公が、いつもお昼休憩でサンドイッチを食べる神社にある紅葉の大樹。

毎日、この木の木漏れ日をいつもカメラに収めているのですが、ある日この木の根元にひこばえをみつけます。

それを持ち帰り、小さな鉢に植えて盆栽のように毎日丁寧に世話をする。

主人公にとっては毎日違う木漏れ日を見せてくれるこの紅葉の木は特別な存在で、ひこばえを見つけては持ち帰って育てているようです。

スカイツリーがそびえ立つ下町の古いアパートでのアナログでありながら丁寧な暮らし。

変わり映えのしない日常に見えて、同僚の恋愛に巻きこまれたり、突然の同僚が仕事をやめて大変になったり、家でした姪っ子が突然訪ねてきて、その成長を感じたり。

こうやって、日々のルーチン的な自分の人生の中の変化を主人公は感じていきます。


日常の中の自分の小さな変化に気づく大切さを教えてくれる映画でした。

最後の夕日に向かって車を走らせるシーンで流れていたニーナ・シモンの曲が印象的。