この3月で1年間のドイツIOB専門家資格講座の受講を終え、無事4月下旬に受けた試験の合格通知が届きました。
ホッ。
オーガニックに対しての認識
思えば、以前のオーガニックに対しての自分の認識が、
くらいしかなかったなと、講座を受講してみて改めて思います。
以前に比べると、ネット通販なのでオーガニック食品を購入しやすくはなりましたが、近所のスーパーでオーガニックのものが買えるかと言うとそうではない日本。
オーガニックが日常に溶け込んでいるヨーロッパの背景を知りたくもあり、ドイツIOBオーガニック専門家資格講座を受講しました。
オーガニックを俯瞰する
「オーガニックというのは、時や場所を超えて関わる命すべてが幸せである仕組み。」
とIOB代表のレムケなつこさんは言います。
初めて聞いた時、オーガニックを俯瞰的にとらえた奥深い言葉だな~と思いました。
この概念の根幹というべく、オーガニックの真価がわかる4つの有機農業の原理(IFOAM 国際有機農業運動連盟が策定)があります。
1.健康の原理
健康とは、「身体的・精神的・社会的・生態的に満たされた状態」。
健康な植物の存在があってこそ、人や動物の健康は成り立つ。
健康な植物に育つには、健康な土や水などの自然環境があってこそであり、私たちの周りのものがすべて健康でなければ、私たち自身の健康は成り立たない。
2.生態的原理
有機農業は、区切られた空間内での相互作用である生態系のバランスに沿って営まれるべきであり、農業の営みに無理やり合わせて生態系を壊してしまってはならない。
生態系にとって異物となる資源の投入は最小限に抑え、すでにある資源を生態系の中で循環させることが有機農業では大事。
「自然環境はみんなで守り、みんなで分かち合う」。
3.公正の原理
公正とは、「人と人および、人と他の生き物との関係のなかで、公平・ 尊重・正義・世界観を共有することによって初めて成り立つ概念」。
有機農業に関わるすべての人が、公正な関係で結ばれ、すべての命が質、量ともに十分な食事を摂り、よりよい生活が提供されるべきであり、また、動物も公正な機会や条件が与えられるべきだとされており、動物らしく自然体で健全でいられることが保障されるべきであるとされる。
そして、次世代の人々にまで美しい自然を残し、資源や尊い命を託していく必要がある。
4.配慮の原理
有機農業においても、生産性の向上や効率化は当然のことのように奨励されているが、そこで使用される技術や技術開発が「決して誰かを苦しめない」ものであること。
- 現在人類が知り得ている生態系や農業の知識はごく一部でしかない
- 実はとんでもない未知の世界だから
- 完全に理解されていないものに対して、十分に配慮しよう
- 使用される技術が誰かの健康や幸せを脅かすかもしれない
そういったリスクを誰かに負わせるのではなく、すべての命がよりよく生きられる技術のみ使用する。
(参考記事:IOBジャーナル オーガニックって結局、何?「人にやさしい」「環境保護」だけじゃない!オーガニックの立体的な姿とは)
ソーシャルベネフィットとしてのオーガニック
ドイツが世界のオーガニックを牽引できる理由
元々、「オーガニックムーブメント」と言われる社会運動として始まったヨーロッパでのオーガニック。
そして、ドイツ市民によってオーガニックは支えられてきました。
ドイツで広まったポイント
- 世界の農地面積ランキング第9位
- 全国チェーンの大手オーガニックスーパーだけでも700軒以上
- 世界中で支持を得ているオーガニック認証団体の出身の多くか本部がある
- 生産者、製造者、研究者などへの手厚い公的財政支援の存在
ドイツ人がオーガニック買う理由
日本でオーガニックを購入する理由としては、
- 自分と家族の健康のため
- 美味しい
- 安心安全
というもの。
一方ドイツでは、
- 地元農家支援のため(90%)
- 動物愛護のため(85%)
- 環境や人体に害が少ないから(83%)
- 食のスキャンダルが少ないから(59%)
と、個人的理由よりも、社会的利益(ソーシャルベネフィット)としてのオーガニックを認め、購入しています。
積極的な社会との関わりの中で家族や自分を守る
レムケなつこさんは、ドイツで暮らす中、
ドイツ人と学び
ドイツ人と仕事をし、起業し
ドイツ人と同居した中で、ドイツ人の美意識に触れたといいます。
ドイツのことわざ
「Vertrauen ist gut, aber Kontrolle ist besser.
(信頼するのはいいこと、管理することはなおさらいいこと)」
政府や企業に対して信頼を抱きつつも、ドイツ人の市民は企業や行政の方針や活動に対し、常に厳しい視点を向けています。「大事な家族や自分の人生を守れるのは他の誰でもない自分自身である」と自覚した上で、現状をよくしていこうと自らも主体的に動く人が多い。
政府や企業に信頼をいだきつつ、まかせっきりにせずに、現状を良くしようと主体的に動く。
そんな国民性が、オーガニックを牽引する大きな原動力になっているのかもしれません。
(参考記事:IOBジャーナル なぜ、オーガニック先進国ドイツでオーガニックがここまで広まったのか。パーソナルベネフィットを超えるソーシャルベネフィットとしてのオーガニックとは。)
オーガニック商品の背景を見る
オーガニック商品を手に取ったとき、その商品の背景に思いを馳せ、誰に言われるでもなく、自分の在り方とマッチしたら購入する。
先ずは、オーガニックとそんな風にかかわっていくのが、無理のない自然な流れかもしれません。
ストイックになる必要もなく、必要であれば自分のペースで、オーガニックの仕組みに意識を向け、日常に取り入れていけばいいのではないかと思います。