「青の画家」東山魁夷作「緑響く」の視覚的な癒し

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「青の画家」東山魁夷作「緑響く」の視覚的な癒し

 

高校生の頃に、始めて訪れた長野県の美術館で出会った日本画家 東山魁夷の絵。

絵画などの美術に疎い私が、その時に母に買ってもらったレプリカ「緑響く」は、何十年たった今でも眺めてしまいます。

 

「緑響く」は、「白い馬の見える風景」シリーズの一作品。

 

「緑響く」

 

蓼科高原の御射鹿池(みしゃがいけ)をモチーフに描かれた「緑響く」。

静かな池の水面に、空に浮かぶ雲などはなく、森の樹々や佇んでいる白馬だけが映っている様子は、まさに緑が共鳴しているかのうように感じられます。

 

一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え 去った―そんな空想が私の心のなかに浮かびました。私はその時、なんとなく第二楽章の旋律が響いているのを感じました。

おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆 きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。白い馬 はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです。

『東山魁夷館所蔵作品集』1991年

長野県立美術館 東山魁夷コレクション

 

「緑響く」を音楽で表現した東山魁夷氏は、視覚と聴覚の人だったのかなと、ふと思ってしまいました。

私の場合だと、絵を見ていると、樹々が放つ香りや池の水や湿った土の香りを連想してしまうのですが。

(その後に、馬の足音や風で揺らされる枝葉の音がやってくる感じです。)

 

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「東山ブルー」の世界

紅葉や枝垂れ桜を描いた作品も素晴らしいのですが、ついつい引き込まれてしまうのが「青」の世界。

2018年に京都国立近代美術館で開催された生誕110周年を記念した東山魁夷展も「青」がテーマでした。

 

ドイツ留学時代や北欧への写生旅行での絵が多く展示されていましたが、海外の「青」と日本の「青」が溶け込んだような独特の「青」の世界がありました。

東山魁夷は、故郷である長野県をとても愛しており、写生旅行先に選んだ北欧も長野県の自然と同じ空気感が感じられます。

「緑響く」も、「青」のトーンが感じられ、静けさや透明感、冷涼感が漂っています。

 

「青」のもつ意味

リラックス効果があり、集中力を高めるとも言われる「青」には、「内なる平和」「理性の力」「冷静さ」「天の色」「冷静さ」「安らぎ」「解放」などの意味合いがあります。

 

「東山ブルー」の世界に引き込まれるのは、日本人画家である東山魁夷が「青」による表現で自身を解放して得た安らぎや平和が、私たちに伝わり心にも染み渡るからなのかもしれません。

 

 

 

 

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