日本においても、この5月8から新型コロナが五類となりましたが、一早くすでにコロナ後の世界に入っているイギリスでは長期の体調不良の労働者の急増により、経済的な影響も出始めているようです。
イギリスで長期間の病気が急増。250万人に到達。(イギリスの人口は日本の半分ほどで、日本なら500万人に相当) 13人の労働者に対し、1人が長期間の病気ということに。経済学者たちは生産性に影響を与え始めており、長期成長に影響を与えかねないとhttps://t.co/QgngIqio3y pic.twitter.com/DCzwXH3yVu
— Takuro⚓️コロナ情報in神奈川県/横浜市/東京都(全国も) (@triangle24) May 22, 2023
増加しているイギリスの労働者の体調不良の原因を「メンタルヘルスの問題」として取り上げられているイギリスの高級紙の記事がブログで紹介されていました。
メンタルヘルスの病気休暇が英国経済にどのような影響を与えているか
How mental health sick leave is crippling Britain’s economy
telegraph.co.uk 2023/05/17
sott.net英国のメンタルヘルス危機は過去 20年間で着実に高まっているが、過去 3年間では、英国の労働者の体調不良の問題が急速に拡大している。
イギリス国家統計局 (ONS)の最新の統計によると、2022年には病気や負傷により推定 1億 8,560万労働日が失われている (※ 労働日とは、1日24時間のうち,労働者が賃金を得るため雇用主に提供する労働時間のこと)。
また、長期の病気で仕事を休む人の数はさらに増加しており、過去最高を記録している。
長期の病気で仕事を休む人の数は、今年2月までの 3か月間で 250万件となった。長期にわたる健康問題の状態にある人の病気欠勤率は 4.9%で、2008年以来最高となっていることが数字で示されている。
この国のメンタルヘルス危機は、過去 20年間で着実に高まっているが、過去 3年間で問題は急速に拡大している。
国家統計局によると、 パンデミックの前年には、うつ病の兆候を示した若者はわずか 11パーセント、 中年者は 10パーセントだった。2021年には、この割合は 23パーセントと 15 パーセントに同様に増加した。
2022年末までに、不安のレベルが非常に低いと答えた人はわずか 3分の 1にとどまった。この割合はパンデミックの最盛期や大不況の最悪の数か月以来見られなかった割合だ。
他の健康危機と同様、その影響は急速に経済に波及し、従業員の離職が生じている。
2019年末の時点で、約 55万5,000人が長期的なメンタルヘルスの問題により経済的に活動できなくなっていた。それから 3年も経たないうちに、この数は 80,000人増加した。これは、労働年齢の成人 70人にほぼ 1人に相当する。
ほぼすべての業界がこの変化の影響を受けている。
労働力調査の数字によると、小売業界では、2017年と比較してさらに 15,300人が精神的健康上の問題により職を失っている。
これは、以前この分野で働いていた約 5万人がもう働いていないことを意味しており、全国で 14万2,000人の欠員がある労働力という観点から考えると、この数字はさらに緊急性を帯びている。
同様の離職の増加は、運輸、サービス業、ビジネス部門全体で見られる。これが経済にどれだけのコストをもたらすかを正確に把握するのは難しいが、いくつかの組織が試行を行っている。
つい最近、会計事務所のデロイト社は、パンデミックが始まって以来、従業員の離職率と欠勤が驚くほど増加し、メンタルヘルスによる雇用主のコストが 25% 増加したと推定した。
2020-21会計年度では、企業は 2019年の 450億ポンド (約 7兆7000億円)と比較して年間 560億ポンド (約 9兆6000億円)の損失を被っていると彼らは推定した。退職した、または退職する予定の従業員のうち、ほぼ 3分の2が、退職の原因は従業員のメンタルヘルスの問題によるものであると調査に答えた。
国家統計局の統計によると、 公共部門の労働者の病気欠勤は 50%高く、メンタルヘルスの問題に関連する可能性が 2倍になっている。
医療サービスはこの問題を象徴している。
2022年 11月には、看護師のストレスや心理的問題により 75労働日に 1人が失われており、これは、2015年の 100労働日に 1 以上から大幅な増加となる。
救急隊員の場合、この数字は 60労働日に 1人に増加している。
5年前には、経済的活動を停止せざるを得ない病気としてメンタルヘルスを挙げた元医療・社会福祉従事者はわずか 18%だったが、現在ではその数字は 28%となっている。
これは、メンタルヘルスを理由にさらに 20,000人が職場から職を失うことを意味する。その中心となっているのは、実質賃金の低下と人員不足を背景に、依然として新型コロナウイルスの圧力で揺れている主要な公共サービスだ。
病院の外でも、圧力がさまざまな公共サービスに影響を与えているようだ。
昨年、公務員の「メンタルヘルスデー」は 38%増加した。警察連盟は、警察全体で、ストレス、うつ病、または PTSD による欠勤が 57パーセント増加したと報告した。教育全般にわたる調査では、過去数年間で 同様の成長が示されている。
メンタルヘルスが原因で失業する人の割合が増えているため、生活保護費はますます高額になるだろう。全国的には、精神的健康上の理由で生活保護を申請する人の数が、その他の身体的疾患の理由で生活保護を申請する人の数を上回っている。
2021年10月時点で、31万人が主要な精神保健給付金の対象となり、最も深刻なケースには年間 3,700ポンド (約 63万円)以上の給付金が支給される。これはパンデミック前のわずか 20万5,000人から増加した。
さらに、人々の治療に必要なサービスの増加や、家族や愛する人を支える無給の介護者にかかる費用も増加する。
この種の研究としては最も包括的な研究として、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスは、失われた経済的生産性を含むこれらすべての要因を組み合わせた数値を発表した。
毎年、この数字は保守的に 1,170億ポンド (約20兆円)と見積もられているが、これは、教育、警察、刑務所、海外開発予算を合わせたよりも大きな数字だ。
この危機に対して、何ができるだろうか?
ほとんどすべての公衆衛生上の緊急事態には、先制的に対処するのが最善だ。この場合、おそらく、無料で利用できる精神保健サービスが継続的に成長することを意味するだろう。
昨年、120万人以上が英国民保健サービス (NHS)の会話療法を利用した、これは、10年前のわずか 40万人から増加した。そして NHS は、身体的疾患に対する資金と同じ割合でメンタルヘルスへの資金を増やすことを約束した。
で、こちらが、テレグラフ紙の記事の一つ目のグラフにIn deepさんが、注釈をいれたものです。↓
テレグラフ自身が掲載しているグラフを見てみます。
内訳の注釈を日本語で入れました。
英国の病気による経済活動への影響の推移
telegraph.co.uk
赤 (■)のメンタルヘルスは、2018年からの比較ではとんでもなく増えているとはいえ、 2021年終わり頃までの増加以降は、2022年から劇的に増加しているというわけでもないことがわかります。
問題は、ピンク (■)の「その他の病気の 2022年からの増加が著しい」ことに加えて、
「 2022年から、突然、内臓の問題 (■)の比率が大きくなった」
ことが示されています。
内臓の問題は、2022年以前は、ほぼ示されていない項目です。
また、水色 (■)の「体の痛み」の比率も大きくなっています。
これは、経済活動への影響ということで、
・休職
・離職
などと関係する病気のことを述べているのだと思われますが、そうだとした場合、
「仕事に出られないほどの体の痛みの問題を持つ人が 2022年から増えた」
ことを示します。
あるいは、軽微な病気であるなら、内臓の問題を抱えていても働いている方々はたくさんいらっゃると思います。
「働くことができないほどの内臓の問題が 2022年から増えた」
と。
これらを、パンデミックそのものやロックダウンのせいだとすることには、無理があります。
当然、ロックダウンの有害性は著しいものでしたけれど、問題が顕著になる「時期」が違う。
そして、少なくとも働けなくなるような体の痛みには、「その状態となる物理的な作用が存在する」と考えるのが妥当です。原因がある。
よくグラフを見ると、メンタルヘルスよりも、
- その他の病気
- 内臓の問題
- 体の痛み
による休職・離職者が、2022以降に増加しています。
因みに、超過死亡に関しても英国の大手メディアは「原因不明」としているようです。
人口が日本の半分ほどなのに、超過死亡に加え、これほどまでの労働力が失われていくというのは深刻な状況だと思うのですが...。
そして、こちらは世界のワクチン接種状況。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/
イギリスは9番目なんですね。
そして、1位から4位までは日本を筆頭にアジア諸国。
アジア諸国はイギリスと比べて人口は多いといえど、接種率も多く日本に関しては3回以上の接種者がかなり多いです。
五類になった5月8日以降も、接種券が送られてくるからと6回目を接種される方もおられるわけで...。
(5月8日以降も、医療従事者、高齢者や基礎疾患のある方は対象者。)
いかに心身ともに自分を健やかに保つか?が、ますます重要となってきました。
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