天気予報によると、梅雨明けまでにはまだ3週間くらいあるようで、たまの晴れ間もギラギラした太陽という感じではなく、まだ過ごしやすい日々です。
(関東などでは汗だくの猛暑日などもあるようですが...。)
さて、先日読んだ神戸でクリニックをされている中村先生の「日光浴で皮膚癌になる?」というブログ記事を読んだのですが、あまり日光を毛嫌いしすぎると逆に健康を害するというのを改めて認識した次第です。
日光浴により発生率リスクが上がる皮膚癌
成長スピードが早い、転移しやすい、死亡率が高いといったたちの悪いメラノーマ(悪性黒色腫)が皮膚癌のイメージとして強いですが、日光浴で発生リスクが皮膚癌は、非メラノーマであり、皮膚組織の基底層や有棘層に発生するガンのことで、死亡率は0.5%以下とのことです。
日光浴でメラノーマの発生リスクが上がるという研究もなく、むしろ日光を浴びない方がリスクが上がるようです。
長年にわたり大量の日光を浴び続けると皮膚癌の発症リスクが上がる。
これは本当ですが、この皮膚癌は非メラノーマ(基底細胞癌とか有棘細胞癌とか)です。
死亡率0.5%以下と、「死亡率」なんて言葉を出すのも大げさなくらい、心配無用の疾患です。日光によってメラノーマのリスクが上がるという研究はありません。逆の研究ならあります。
たとえば、アメリカの海軍兵士を対象に行われた研究。
海軍の兵士を、(1)室内勤務、(2)室外勤務、(3)室内室外半々くらい、の3通りに大別して、1974年から1984年の10年間追いかけて、メラノーマの発生率を調べた。
すると、メラノーマの発生率が最も高かったのは、(1)室内勤務の兵士だった。逆に最も低かったのは、(3)室内室外半々の兵士だった。さらに、メラノーマができた箇所に注目すると、体幹、肩、足など、日光が当たらない場所に好発しており、かつ、非メラノーマは主に顔や手に見られた。
こういう研究を見たときには、交絡因子を疑うことも大切です。海軍所属の兵隊でずっと室内勤務しているということは、たとえば潜水艦の乗組員もいるだろう。日光がないのはもちろんだけど、狭い艦内に閉じ込められている精神的ストレス、水圧による身体的ストレス、粗悪な食事などもメラノーマの発生しやすい素地を準備するかもしれない。原子力潜水艦だった場合には、原子炉からの被曝なんてのもあるかもしれない。
しかし日光と癌の関係については、これ以外にも数多くの研究がある。38472人を15年間にわたってフォローした研究。北欧では日光浴を楽しむために南にバカンスに行く習慣があるが、女性も例外ではない。もちろん、日本と同様「紫外線はお肌の大敵!」と信じて極力日光を避ける女性もいれば、日焼けに頓着せず山や海でのレジャーを堂々と楽しむ人もいる。そこで研究者が日光曝露と死亡率の関係を調べたところ、休暇に日光浴をしたことがある人はそうでない人に比べて死亡率が低いことがわかった。さらに、日焼けをしたことがある人はそうでない人に比べて死亡率が低いこともわかった。
今度は逆の角度から。つまり、日光を浴びることではなく、日光を避けることが健康にどのような影響を与えるかを調べた研究。
『日光曝露の忌避は全死亡率のリスク因子である』
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/joim.12251
三つグラフがあって、左は日光を毛嫌いする人、真ん中はほどほどに当たっている人、右は積極的に当たっている人。
各グラフの横軸は20年の時間経過、縦軸は死亡率(心疾患、癌、その他)。見てすぐわかるように、「太陽に浴びれば浴びるほど死亡率が下がっている」(用量依存性)。日光による死亡率の低下は劇的で、「日光に最もよく当たるグループの喫煙者の死亡率は、日光にほとんど当たらないグループの非喫煙者のそれと同じ」である。
この意味がわかりますか。日光忌避は、タバコを吸うのと同程度の悪影響を与える、ということです。
そしてさらに、日光浴により非メラノーマ発生リスクは上がるわけですが、他の多くの病気の罹患率が低下しているということも分かったようです。
紫外線と皮膚癌の発症率についても、用量依存性、つまり「太陽を浴びれば浴びるほど皮膚癌の発生リスクが高まる」ことは、まず間違いない。
「じゃあ日光浴なんて勧めるなよ」と思うだろうけど、話は最後まで聞くものですよ。
なるほど確かに、日光により皮膚癌の発生リスクは高まる。しかし、研究者はこう考えた。
「皮膚癌になったとしても、それは太陽の恩恵をしっかり受けている証拠であって、むしろ他の病気の罹患率は低下しているのではないか」と。
実際、調べてみたところ、日光曝露により皮膚癌以外の癌(14種類)は発生リスクが低下しており、さらに心疾患、糖尿病の発生リスクも低下していた。
『日光曝露のマーカーとしての皮膚癌~心筋梗塞、股関節骨折、死亡率との関係性』
https://academic.oup.com/ije/article/42/5/1486/622917
1980年から2006年まで40歳以上のデンマーク人(のべ440万人)を対象とした研究。以下のグラフはめちゃくちゃに衝撃的なんだけど、これが衝撃的だということが、わかりますか。
三段あって、上段が心筋梗塞、中段が股関節骨折、下段が全死亡。それぞれの段について、左側は非メラノーマ型皮膚癌(とコントロール群)、右側は皮膚悪性メラノーマ(とコントロール群)。
右下のグラフ(皮膚悪性メラノーマのカーブがコントロール群とおおよそ一致)の他はすべて、皮膚癌にかかっているほうが死亡率が低いという衝撃の結果を示している。
「癌にかかるような人は、さぞ弱々しくて寿命も短いだろう」というイメージは、こと皮膚癌に限ってはまったく当てはまらないということだ。
皮膚癌は太陽の残した置き土産であり、他の疾患に対してはむしろ防御的に働いている。これは案外、皮膚科の先生の実感だと思う。「皮膚癌にかかるおばあちゃんって、妙に元気な人が多いんだよなぁ」と。
こちらの記事の冒頭で、「日本人の98%がビタミンD不足」であり、日光を浴びる事で体内で生成されるビタミンDが骨格の形成や免疫機能の調整に重要な役割を果たしていることからも、日光を浴びないことによる罹患率の上昇の要因の一つであることは間違いなさそうです。
多岐にわたる太陽光の効果
エジプトで太陽神のラーが最高神として崇められる紀元前1350年頃から、太陽の光による光線療法がおこなわれていたことからも、太陽光の効果が伺えます。
太陽光の効果
- 自律神経の安定
- 内臓の分泌作用を高める
- 発汗
- 筋肉強壮
- 脂肪の蓄積を予防
- むくみの減少
- 腫瘍の縮小
など
光線療法の歴史
- 紀元前1350年頃のエジプト:太陽神への礼拝と日光浴
- 3000年以上前の古代ギリシャ:太陽光線を治療用の光源として利用(ヒポクラテスもギリシャのコス島に日光両方を本格的に医療の場に取り入れる)
- 紀元前1400年頃のインド:紫外線に対する感受性を高めるソラレンを使った白斑の治療
- 西暦150年頃 外科医アンチロスは患者に日光浴をっさせることで身体の機能が向上すると日光浴について高く評価
参考:株式会社ヒーリング クオンタムヒーリングライト資料より
https://naturopath-labo.com/quantum-healing-light-sellizin/
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私は日常的に、顔には日焼け止めを塗ってますが(やっぱりシミは極力避けたいので)、腕などは塗らずに過ごしてます。
洗濯物の取り入れや、庭いじりで夏場は十分な日光は浴びれているのではという気はしてますが、日本人の98%がビタミンD不足ということなので、年間を通してだと浴びる量は少ないかもしれませんね。
かつて、わが家にいたワンコはうだる暑さの真夏の日であっても日光浴を日課としていましたが、ちゃんんと太陽の恩恵をわかっていたんでしょうね~。
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