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不織布マスクからも検出された海の生物に多大や影響を与える環境ホルモン 

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不織布マスクからも検出された海の生物に多大や影響を与える環境ホルモン 

 

3年目に入ったコロナ禍。

思い返せばマスクが入手困難な時期もあったりしましたが、その後も需要は増え続け、世界中で使用されて廃棄されるマスクの数は想像を絶するものとなり、地球環境を汚染する要因となってきているようです。

ウミガメの排泄物から不織布マスクが見つかり、そのマスクからは環境ホルモンが検出されたことが確認されています。

 

環境ホルモンとは、「内分泌攪乱物質」の呼称。環境中に存在するホルモン様作用のある物質で、生体の恒常性に異常を引き起こす

 

ウミガメの排泄物から確認されたマスク

 発見された場所は、過去15年以上に渡りウミガメ類の生態調査を行っている地域。ウミガメからマスクが出てきた例は今回が初だとのこと。

なお、マスクは排せつ物から確認されているため、ウミガメが消化管内でゴミを詰まらせている危険性はないと判断されると同時に、プラスチックを飲み込んだことによる海の生態系への環境汚染が懸念されました。

市販されている5社のマスクについてプラスチック添加剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)の分析を行った結果、5社中4社のマスクから6種類の添加剤を検出。特に1社は高濃度の数値となりましたが、今回見つかったマスクにも添加剤が含まれていたかは明らかになっていません。

しかし今回の研究結果では海洋生物がマスクを誤飲することで、生物たちがプラスチックの添加剤に曝露(ばくろ)される可能性があることを示しています。

同チームは、近年のコロナ禍において人間の生活様式が変化したことにより、海の生物にも影響がでていることを今回の研究で示しました。マスクを含むPPE(個人用防護具)の使用はしばらく増え続けると見られ、廃棄物管理の徹底や安全性の高い添加剤への変更が必要だと説明しています。

この研究成果は、2022年2月8日に「Marine Pollution Bulletin」に掲載されました。

 

 

以前から、プラスチックゴミの問題は懸念されていますが、それに追い打ちをかけるにここ数年で大量消費されるマスク。

そして、ほとんどの不織布マスクには環境ホルモンとなるプラスチック添加剤が使用されており(5社中4社のものに使用されている)、誤飲した海洋生物への暴露が懸念されています。

 

ヨーロッパなどでは、コロナ規制が解除されてマスクをしなくなった国もありますが、日本ではまだまだマスクなどの防護具の需要はなくなる気配はなさそうなので、海の生き物たちの誤飲による暴露の可能性は高くなるかもれしれません。

 

毎日長時間、マスクを着用する人たちも環境ホルモンに暴露されていることになり、自分の身を護るために着用しているマスクから、体調不良につながる化学薬品を吸い込んでしまっていることになります。

さらに、マスクをすると鼻呼吸がしにくい状態にも。

鼻呼吸の重要性の再確認。カギとなるのは「一酸化窒素」

  先日、自転車で自宅よりやや遠めのATMに行った時のこと。 道中マスクを着けてなかったのですが、若干坂もあったりで久々にまともに自転車をこいだこともあり、息が上がり気味になりまして。 &n ...

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カナダで埋め立てられる大量のマスク

カナダ環境省の発表によると、

2021年中旬までに国内の使用済みのマスクのゴミ63000トンにのぼったそうです。

マスクはリサイクルが不可能なプラスチック素材で作られているため、ほとんどがカナダでは埋め立てられたとのことです。

ちなみに環境団体は2020年末までに世界で15億枚のマスクが海に流れ込むと試算を出しています。

 

カナダでは不燃ごみとして大量のマスクが埋め立てられているそうです。

世界で15億枚のマスクが海に流れ込むとの試算があるということは、やはり海の生き物たちへの影響は甚大となる可能性は十分に考えられます。

 

プラスチックを分解する酵素の発見

そんななか、スウェーデンのチャルマース工科大学より、光明の差す研究結果が発表された。

プラスチックを分解する能力をもつ微生物酵素の存在だ。

学術誌「mBIO」に掲載祭れた内容によると、世界中の数百の場所(海や土壌)から採取した環境DNAのサンプルを分析しデータを照らし合わせた結果、プラスチック分解能力を持つ微生物酵素が多く存在している地域ほど、各国が公表している海洋プラスチック廃棄汚染のデータが軒並み悪いことが判明。

つまりは、汚染が進んだ地域ほど分解酵素が多く存在するということだ。

「微生物のプラスチック分解能力はプラスチック汚染の測定値と密接な相関関係があることを裏付ける結果となりました」と、同大学のシステム生物学准教授Aleksej Zelezniak氏は言う。

なんでも、10種のプラスチックを分解できる可能性のある酵素が、すでに3万種以上も発見されているらしい。

長年、プラスチックは分解不可能とされ、それによる環境汚染により生態系への影響も危惧されてきましたが、増加する一途をたどっているプラスチック汚染にともない、それを分解しようと微生物も進化しているようです。

自然界をニュートラルな状態に戻してくれる存在といえる微生物ですが、プラスチック分解可能の酵素がすでに3万種も発見されているのは驚きです。

 

 

環境ホルモン(PCB)によりイギリスのシャチの群れが消滅

 

こちらは2018年の記事。

 

 

そして、獣医師である森井啓二氏の先月の記事によれば、イギリスの海のシャチの最後の群れの消滅がほぼ確定となったようです。

 

 

すでに4年前には、英国、スコットランドとアイルランド沖にはあと8頭のシャチしか残っておらず、しかも、とても小さくてもはや繁殖能力がない状態でした。

 

原因は、

その毒性の強さから、1970年代以降は世界的に規制により生産や使用が中止された「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」の在庫品や、それを使用した製品(主に電気機器の材料)の処分や廃棄などにより環境汚染が続いている状態となっていることです。

 

環境ホルモンである(内分泌攪乱物質)の一種であるPCBは、わずかな量で哺乳類の恒常性を攪乱してしまい、ホルモン異常や皮膚や内臓の障害などを引き起こします。

 

生物の体内に取り込まれたPCBは脂肪に蓄積され、捕食者であり海の生態系の頂点に位置するシャチは、生物濃縮により体内のPCB量が高濃度となってしまいます。

これにより、生殖機能が低下し、子どもが生まれたとしても生き延びることが出来ないため、どんどん減少。

そしてついに、イギリスの海では最後の群れまで消滅してしまったようです。

 

4年前の時点で、日本近海でもシャチの個体数は半減。

100年後にはほぼ絶滅との予測となっています。

さらに、今後もシャチに一定のPCBの蓄積が続くと仮定して、今後100年間で出産数や死亡率などがどう変化するかを海域ごとに予測した。すると、30~50年後に日本やブラジル、英国の近海、北東太平洋などで生息数が半減すると推定された。100年後には、日本や米ハワイ、西アフリカの沖で、ほぼ絶滅するとの結果になった。

チームはPCB以外にも、過剰な捕獲や、人の活動に伴う騒音がシャチの脅威になっていると指摘した。成果は米科学誌サイエンスに発表した。

nikkei.com

 

PCBだけでなく、途方もなく多くの化学薬品が川や海に流れたりして環境中に排出され、それらの物質が反応してまた新たな化合物となることもあり、われわれ人間が把握できない状態になっているともいわれます。

化合物となることで毒性が増すこともあり、そういった物質が原因で環境が破壊され絶滅に追い込まれている生物もたくさんいます。

 

我らをめぐる海の過酷な現状は、数年の間にもかなり悪化しているようです。

 

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